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先に結論: 「心電図が測れる」「血圧が測れる」という宣伝文句は、機種と国の承認しだいで中身がまったく違います。日本で心電図(ECG)を公式に使えるのはApple・HUAWEI・Garmin・Googleの4社のみ。血圧を数値として測れる医療機器はHUAWEI WATCH D2ただ1機種で、Apple Watchは血圧の数値を測りません。本記事では各機能が「国の承認を受けた医療機器」なのか「ウェルネス目的の推定」なのかを、メーカー公式の情報だけを根拠に購入前に整理します。

日本で使える健康機能の早見表【心電図・血圧・血中酸素】

機能Apple WatchGarminPixel WatchHUAWEIGalaxy Watch
心電図(ECG)○ 管理医療機器(Series 4以降・SE除く)○ 対応23機種○ (Pixel Watch 2/3/4)○ (WATCH GT 5 Pro・D2など)×(日本は非提供)
血圧(数値の測定)×(数値は測らない)××○ WATCH D2のみ(カフ式)×(日本は非提供)
高血圧の兆候の通知○ (2025年12月〜)××××
血中酸素○ ウェルネス○ ウェルネス○ ウェルネス○ ウェルネス○ ウェルネス
睡眠・皮膚温・ストレスウェルネスウェルネスウェルネスウェルネスウェルネス

※○=日本の国内モデルで公式提供(2026年9月・執筆時点、各社公式サイトの記載に基づく)。

同じ「健康機能」の中に、国の承認を受けた医療機器としての機能と、一般的な健康管理向けのウェルネス推定の2種類が混在しています。この違いを知らずに買うと、「載っているはずの機能が日本では使えない」ということが起きます。

心電図(ECG)が使えるスマートウォッチは日本では4社だけ

心電図機能は日本では薬機法にもとづく承認が必要で、各社とも「管理医療機器(プログラム医療機器)」として提供しています。2026年9月時点で承認を得ているのは次の4社です。

Apple — Apple Watch Series 4以降(SEシリーズを除く)で利用可。販売名「Appleの心電図アプリケーション」として承認(承認番号 30200BZI00020000)されており、日本では2021年1月から使えます。対象は22歳以上。別承認の「不規則な心拍の通知」は、バックグラウンドで心房細動を示唆する不規則な拍動を検出したときだけ知らせる機能で、ほかに「心房細動履歴」(診断済みの人向け・2024年5月〜)、後述の「高血圧パターンの通知」まで、日本承認済みの機能数は現状もっとも多い。なお廉価なApple Watch SEシリーズは心電図非対応なので、心電図目当てならSeries系を選ぶ必要があります。

HUAWEI — 販売名「HUAWEIの心電図アプリケーション」が2024年12月17日に承認され(承認番号 30600BZI00035000)、2025年1月から順次提供。対象機種はWATCH GT 5 ProやWATCH D2など。対象年齢は18歳以上で、Appleの22歳以上と条件が異なるのは比較ポイントです。

Garmin — 2025年4月23日に日本で心電図アプリの提供を開始。公式サイトの対応リストにはfēnix 9/8/7 Pro系、epix Pro、Venu 3/Venu 4、Forerunner 970、Enduro 3、tactix 8など23機種が掲載されています(執筆時点)。判定結果は「洞調律/心房細動(AFib)/心拍数が高すぎる・低すぎる/判定不能」の4種類。ランニングやアウトドア向けの機種で心電図が使える唯一の選択肢です(ランナー向けの機種選び自体はランニングウォッチの選び方で詳しく解説しています)。一方、ゴルフ向けのApproachシリーズはセンサー自体を搭載しておらず非対応です。

Google — Pixel Watch 4(2025年10月発売)で「Pixel Watchとして日本初」の心電図機能を提供開始し、Pixel Watch 2/3にもアップデートで展開されました。発売当初のPixel Watch 2/3は日本で心電図が使えなかった——後から解禁された経緯ごと覚えておくと中古選びでも役立ちます。

Samsung — Galaxy Watchはハードウェアとしては電極を搭載していますが、心電図を提供するアプリ(Samsung Health Monitor)が日本では配信されておらず、公式には使えません(米国では利用可)。日本のGalaxy Watch8製品ページにも心電図・血圧の記載はありません。日本モデル(Samsung公式ストアで62,900円・執筆時点)で使える健康機能は、睡眠スコアや血管負荷などのウェルネス層が中心です。

対象年齢・条件は機能ごとに違う

機能対象条件
Apple 心電図/不規則な心拍の通知22歳以上
Apple 心房細動履歴22歳以上・心房細動と診断済みの人向け
Apple 高血圧パターンの通知22歳以上・高血圧と診断されたことがない・妊娠中でない人
Apple 睡眠時無呼吸の通知18歳以上
HUAWEI 心電図18歳以上

どの機能にも共通するのは、診断をするものではないことです。各社とも「心房細動の兆候の検出を補助し、受診を促すためのもので、医師の診断に替わるものではない」と明記しています。診断ができるのは医師だけです。

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血圧の「測れる」は3方式ある — 実測・推定・通知はまったく別物

「血圧対応」をうたう機能は、原理も規制上の扱いも異なる3方式に分かれます。ここが今のスマートウォッチ選びでいちばん誤解されやすいところです。

方式代表機種日本での扱い
(1) カフで加圧して実測HUAWEI WATCH D2管理医療機器(自動電子血圧計)として認証
(2) 光学センサーで推定Galaxy Watch(米国のみ)日本では提供なし。米国でも医療機器ではない
(3) 数値を出さず兆候を通知Apple Watch Series 9以降/Ultra 2以降管理医療機器。ただし血圧計ではない

(1) HUAWEI WATCH D2 — 血圧の数値を測れる唯一の量産スマートウォッチ

ベルトにエアバッグ(カフ)を内蔵し、上腕式血圧計と同じオシロメトリック法で実際に加圧して測る方式です。日本の管理医療機器認証(認証番号 306AGBZI00008000・2024年11月18日認証)を取得しており、市場想定価格は60,280円(税込・執筆時点)。

ただし、購入前に知っておくべき注意点が2つあります。

  • 睡眠中の自動血圧測定は管理医療機器認証の範囲外であるとHUAWEI公式FAQが明記しています。「24時間の自動測定」に期待して買う場合、夜間の測定は認証された測定ではないと理解しておく必要があります
  • 自動血圧測定を有効にすると、バッテリーがメーカー公称の約6日間から最大約1日間まで短くなります。ここは実使用にかなり効きます

またHUAWEI自身が、測定値にもとづいて診断・治療・薬剤の調整を行わないよう警告しています。数値はあくまで自己管理の参考であり、治療にかかわる判断は必ず医師に相談してください。なおWATCH D2を含むHUAWEIの現行ラインナップ(GT・FIT・Dシリーズ)全体の違いはHUAWEIスマートウォッチ比較2026で整理しています。

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(2) Galaxy Watchの血圧推定 — 日本では提供なし

Samsungの血圧機能は光学センサーの脈波から推定する方式で、28日ごとに上腕式血圧計での再キャリブレーションが必要です。米国では2026年3月31日から段階的に提供が始まりましたが、米FDAのクリアランスは取得しておらず、Samsung自身が「医療用途を意図しないウェルネス機能」と説明しています。そして日本では提供自体がありません。カフで実測するHUAWEI WATCH D2とは、規制上も原理上も別物として考える必要があります。

(3) Apple Watchの「高血圧パターンの通知」 — 血圧の数値は測らない

2025年12月4日に日本で提供が始まった管理医療機器で、対象はApple Watch Series 9以降/Ultra 2以降。ただし血圧の数値は一切表示しません。光学式心拍センサーで血管の拍動反応を30日間分析し、「高血圧の可能性があるパターン」が見られたときに通知するだけの機能です。利用には30日のうち14日以上の装着が必要で、検出は日中のみ。通知が来たら、血圧計での測定と受診のきっかけにする——という位置づけの機能です。

血中酸素・睡眠・皮膚温・ストレスは全社共通で「ウェルネス推定」

ここまでに挙げた機能以外の健康系データは、どのメーカーでも医療機器ではありません。

  • 血中酸素(SpO2): Garminは公式リリースで「疾病の治療、診断、予防を目的とした医療機器ではありません」と明記しています。Appleも機能名自体を「血中酸素ウェルネス」とし、医療用途を否定しています。医療用パルスオキシメータの代わりにはなりません
  • 睡眠ステージ/睡眠スコア: 加速度センサーと心拍パターンからの推定で、医療機関の睡眠検査(ポリソムノグラフィ)とは別物です。Samsungも日本の製品ページで、睡眠機能は一般的な健康とフィットネス目的であり、病状や睡眠障害の検出・診断・治療を想定していないと説明しています
  • 皮膚温: 体温計ではありません。就寝中のベースラインからの相対的な変化を示す設計で、発熱の判定に使うことは想定されていません
  • ストレス: 心拍変動からの推定の目安です

これらは「毎日のトレンドを眺めて生活を整える」道具としては十分実用的です。逆に、出てきた絶対値を検査値のように読むのは設計上想定されていない使い方です。

なぜ海外モデルでは使えない機能があるのか

心電図や血圧のような機能は、日本では薬機法にもとづく国内での承認・認証が国ごとに別途必要です(プログラム医療機器)。同じハードウェアでも、承認が済んでいない国ではソフトウェア側で機能が無効化されます。Galaxy Watchの心電図が米国で使えて日本で使えないのは、まさにこの仕組みによるものです。

購入時の実務的な注意は2つ。

  • 並行輸入・海外モデルは、日本で健康機能が有効になるとは限りません。健康機能が目的なら国内正規モデルを選ぶのが確実です
  • 発売直後は承認が追いついていないことがあります。Pixel Watch 2/3が発売当初日本で心電図を使えなかったように、「その機能が日本で使えるか」をメーカー公式の機能対応状況ページで確認してから買うのが鉄則です

目的別の選び方(執筆時点)

  • iPhoneで心電図系の機能をひととおり使いたい: Apple Watch Series 11(実勢価格 約65,800円・執筆時点のAmazon実売)。心電図・不規則な心拍の通知・睡眠時無呼吸の通知・高血圧パターンの通知まで、日本承認済みの機能が現状最多です。SEシリーズは心電図非対応な点だけ注意
  • Androidで心電図を使いたい: Google Pixel Watch 4。日本で心電図が使えるWear OS機です
  • 電池持ちと心電図を両立したい: Garmin Venu 3/Venu 4など、Garminの心電図対応23機種から。ランナー向けのForerunner 970も対応しています
  • 血圧の数値を腕で測りたい: HUAWEI WATCH D2(市場想定価格 60,280円・税込)。カフ式で唯一の管理医療機器です
  • なおHUAWEI WATCH GT 6 Pro(楽天のHUAWEI公式ストアで39,400円・執筆時点)は公式スペックに心電図(ECG)センサーの記載がありますが、日本での心電図アプリの対応可否は購入前にHUAWEI公式サポートで確認することをおすすめします

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気になる結果が出たら — 数字との付き合い方

最後にいちばん大事なことを。スマートウォッチの通知や測定結果は診断ではありません。

  • 通知が来た=病気、ではありません。まずは落ち着いて、血圧計での測定や医療機関での確認につなげてください
  • 通知が来ない=心配ない、でもありません。自覚症状があるときは、時計の表示にかかわらず受診してください
  • 気になる数値や結果が出たら、自己判断せず医師に相談してください

スマートウォッチの価値は病気を見つけることではなく、受診のきっかけと日々の傾向を教えてくれることにあります。

まとめ

  • 日本で心電図(ECG)を公式に使えるのはApple・HUAWEI・Garmin・Googleの4社。Galaxy Watchは日本では非対応
  • 血圧を数値で測れる管理医療機器はHUAWEI WATCH D2のみ。Apple Watchの高血圧パターンの通知は数値を測らない別物の機能
  • 血中酸素・睡眠・皮膚温・ストレスは全社ウェルネス推定で、検査や医療機器の代わりにはならない
  • 海外モデルでは日本で機能が使えないことがある。国内正規モデル+メーカー公式の対応状況確認が鉄則

機種選び全体の比較はスマートウォッチおすすめランキング、Apple Watchの世代選びはApple Watch Series 11 vs Series 10比較、Android派との比較はApple Watch vs Galaxy Watch徹底比較とApple Watch Series 9 vs Galaxy Watch 6比較もあわせてどうぞ。

参考・出典

※本記事の仕様・承認状況は2026年9月の執筆時点における各社公式サイト・公式発表の記載に基づきます。数値はいずれもメーカー公称値で、編集部による実機測定ではありません。価格は執筆時点の実勢・市場想定価格で変動します。心電図・血圧などの機能は国・モデル・ソフトウェアのバージョンで利用可否が変わるため、購入前にメーカー公式の最新情報をご確認ください。本記事は医学的助言を目的としたものではなく、体調に不安があるときは医療機関を受診してください。